〜人を雇用する際の基礎的知識〜



4大公的保険とは何?
一定の場合を除き、どんな名称の「労働者」であろうと、1人でも他人を雇う個人事業主および法人には、 法律で「労働者災害補償保険(→略称:労災保険)」「雇用保険」「健康保険(介護保険を含む)」「厚生年金保険(国民年金を含む)」 に加入することが義務付けられています。当サイトではこの 4つの保険のことを、4大公的保険と呼ぶことにします。

加入しないと、例えばこんな事になります。(クリック)



税務調査の調査官は検察が動かなければ「逮捕」出来ませんが、
労働基準監督官は、特別司法警察職員として、
会社を強制調査したり、使用者を「逮捕」することが出来ます。



かんたんに対処できる労務管理項目を見落としたり、見過ごすと、
あとで大きな代償を払うことになります。
事前対処事前予防が肝心です。

4大公的保険のあらまし
以下の表をご覧下さい。

【適用事業所となるのは】
(○は全員強制加入となる、×は強制加入ではないが希望すれば加入可能であることを表します。)

有限会社・株式会社は、表の一番上の「法人」に該当するので、4大公的保険のすべてに加入し、 下記に該当する「労働者」を雇った場合には、その者を4大公的保険の被保険者にする義務があります。



【被保険者となる人は】
(○は強制加入となる、△は条件に該当する者だけが加入となる、×は加入できないことを表します。)



ちなみに雇用保険に加入すると、厚生労働省管轄の助成金を得る資格が生じます。
(厚生労働省管轄の助成金は、雇用保険適用事業所であることが条件となっています。)



四苦(シク)と4大公的保険の関係
人生に起こる4つの苦しみ(=古来より人間誰もが免れることが出来ない苦しみと言われているもの、シクと呼ばれているもの。)と、 4大公的保険の関係図を示しました。

 保険料を納めることにより、日本で勤労する人は、国から「労災保険」・「雇用保険」・「健康保険(介護保険を含む)」・「厚生年金保険(国民年金を含む)」の 4つの公的保険によって、最低でも下記の保険給付を受けることができるので、誰もが免れることが出来ないとされる「四苦(シク)」から守られることになっています。

 こんなに沢山の保険給付が受けられるにもかかわらず(注意:労災保険については、特別加入が必要です。)、同じような保障内容の民間保険に入っていたり、年金にお金を払っていませんか? 公的保険は強制保険ですから、民間保険に加入する前に必ず加入しているものなのです。また公的保険なので、運営母体が倒産する不安がありませんし、 支払った年金保険料の元本も保証されます。

※下記の給付は、このページをアップロードした時点のものです。
 その時の社会情勢に合わせて名称変更となったり、統廃合される事があります。

(ショウ)
健康保険
・出産育児一時金
・出産手当金
・家族出産育児一時金
雇用保険
・基本手当(訓練延長給付、広域延長給付、全国延長給付)
・技術習得手当(受講手当、特定職種受講手当、通所手当)
・寄宿手当
・傷病手当
・高年齢求職者給付金・特例一時金・日雇労働求職者給付金
・再就職手当・常用就職支度金・移転費・広域求職活動費
・教育訓練給付金
・育児休業給付(基本給付金、育児休業者職場復帰給付金)

(ロウ)
雇用保険
・高年齢雇用継続給付(基本給付金、再就職給付金)
厚生年金保険、国民年金
・老齢厚生年金
・老齢基礎年金・付加年金

(ビョウ)
労災保険
・療養(補償)給付
・休業(補償)給付・休業特別支給金
・傷病(補償)年金・傷病特別支給金・傷病特別年金
・障害(補償)年金・障害(補償)一時金
・障害特別支給金・障害特別年金・障害特別一時金
・障害(補償)年金前払一時金
・障害(補償)年金差額一時金
・障害特別年金差額一時金
・介護(補償)給付
・二次健康診断等給付
健康保険
・療養の給付・入院時食事療養費・特定療養費
・療養費・訪問看護療養費・移送費
・傷病手当金・家族療養費・家族訪問看護療養費
・家族移送費・高額療養費
厚生年金保険、国民年金
・障害厚生年金・障害手当金
・障害基礎年金
雇用保険
・介護休業給付

(シ)
労災保険
・遺族(補償)年金・遺族(補償)一時金
・遺族特別支給金・遺族特別年金・遺族特別一時金
・遺族(補償)年金前払一時金
・葬祭料(葬祭給付)
健康保険
・埋葬料
・埋葬費
・家族埋葬料
厚生年金保険、国民年金
・遺族厚生年金
・遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金



上記のうち、いくつの保険給付をご存知でしたか?

各保険給付の内容はご存知でしょうか?

意外に知られていない、これらの『公的給付』。

(公的保険の加入は、自由ではありません。)




改正された労働基準法は、ご存知ですか?
労働基準法には、「労働者」に対して経営者が守らなければならない最低限の労働条件が細かく定められています。 1日8時間労働・週40時間労働はもうおなじみですね。労働時間だけでなく、賃金、休日休暇、採用募集、解雇退職、健康安全、労働災害時 などの定めも、「労働基準法」には書かれています。
全部書くとページが足りなくなってしまうくらいに多くの規定があるので、ここでは詳しく述べませんが、 労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律なので、経営者がこれを知っていてもいなくても、 守らないと法律で罰せられてしまいます。

「労働基準法」だけに限らず、法律は社会の動向に合わせて逐次見直しされています。労働法の基幹とも言える 労働基準法は平成16年1月1日に改正されました。法律は常に変化しています。経営者がこの変化について行くには、相当の エネルギーや時間を消費することになり、容易ではありません。
法律を守るのが大変だからと言って避けて通ることは出来ません。専門に人事労務・総務等の部署を置くか、 専門家の手を借りるかのどちらかの方法を採って、対処する事になります。

中小企業では、労務および社会保険関係専門の部課を企業内に持つ余力が無いため、
中小企業における労務管理の近代化は、今後、切実な問題となることが予想されます。

これらの専門家を企業外から求めるほか無いというのが、中小企業の実情といえると思います。

問題が起きたに対処するのでは、問題が大きくなってしまい、収拾がつかなくなって 対処できない可能性があります。問題が起こる前に対処するべきです。またその方が、断然に『楽』です。
身近に「ヒト」に関して詳しい方が、いらっしゃいますか?


労働基準法のあらまし
労働基準法の大まかな見出し部分だけを拾っておきます。

総則
労働条件・均等待遇・中間搾取の排除・強制労働の禁止・公民権行使の保障・適用事業・労働者・使用者など
賃金
賃金・平均賃金・賃金支払・非常時払い・休業手当・出来高払制の保障・最低賃金など
労働契約
労働契約期間・労働条件の明示・賠償予定の禁止・前借金相殺の禁止・強制貯金・解雇・退職時証明・金品返還など
労働時間、休憩、休日および年次有給休暇
法定労働時間・変形労働時間制・みなし労働時間制・時間外労働・割増賃金・非常災害・休憩休日・年次有給休暇など
安全および衛生
労働者安全衛生法の定めによることとし、条文削除
年少者
最低年齢・年少者証明・労働契約・賃金・労働時間と休日・深夜業・危険有害業務と坑内労働・帰郷旅費など
女性
坑内労働の禁止・危険有害業務の制限・産前産後・妊産婦の労働時間・育児時間など
技能者養成
徒弟制の弊害排除・職業訓練特例など
災害補償
災害補償・打切補償・分割補償・審査仲裁など
就業規則
記載事項・手続・効力など
寄宿舎
寄宿舎生活の自治・寄宿舎生活の秩序・寄宿舎設備と安全衛生など
監督機関
申告・報告など
雑則・罰則
法令周知義務・労働者名簿・賃金台帳・無料証明・付加金支払い・時効など

その他にも知っておかなければならない法律は、まだあります。
→その他の法律を見る


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