トップ >  所長のフリートーク >  26〜30


 いきいきワーキング教習所−社労士・杉山のフリートーク
(以下は、当教習所・所長の気まぐれコラムです。文章や写真の無断転載・無断複製を禁じます。)
No. 投稿日 投稿者 タイトル・内 容
30 2009/03/15 17:30 社労士・杉山千里
  *****************************************
  経済産業省が唱える「社会人基礎力」とは?
  *****************************************
  
  経済産業省が、これからの社会人に求められるものとして、
  3つの基礎的能力(12の要素からなる)を定めていることをご存知でしょうか?
 (詳しくはこちらを。)
 (文部科学省からは、大学を卒業するまでに身につけておくべき力として、「学士力」というものが出ています。)
 (厚生労働省からは、「就職基礎能力」というものが出ています。)
  
  先日、その基礎能力育成グランプリの第2回決勝大会が東京で開催され、
  参加40大学のうち、予選を勝ち抜いた9つの大学の中から、
  小型人工衛星の開発に取り組んだ大阪工業大学が
  大賞に選ばれました。
  
  社会人として必要な基礎的能力(前進力・思考力・協業力)は、
  一体どの段階で、どのように身に付けるべきでしょうか?
  家庭の中の「しつけ」で自然に身に付けるべきか、
  就職する前の学校教育の段階で身に付けるべきか、
  それとも就職後に会社の仕事を通じて徐々に身に付けていくべきか、
  いろいろ意見が分かれるところかと思います。
  
  しかし、そもそも「社会人基礎力」とは、具体的にどんな能力なのか?
  これが解っていないと、どうやって身に付けるかを考えることも、
  また既に身に付いているのかどうかを判断することも出来ません。
  
  漠然としていて、各人で定義がバラバラな「社会人基礎力」という能力を
  経済産業省が、明確に定めて共通化したことは意義ある事でしょう。
  
  企業側の求める能力がハッキリすれば、雇用ミスマッチも少なくなり
  失業率が下がって就職率も上がるものと思います。
  
  ※「雇用ミスマッチ」とは?
    労働力を求める求人側と仕事を求める求職側の要求が合わないこと。
  
  
29 2009/02/02 14:30 社労士・杉山千里
  *****************************
  未完成こそ、究極の完成形?!
  *****************************
  
  月(つき)満(み)つれば則(すなわ)ち虧(か)く 
  これは中国の司馬遷が、史記の中で記した言葉です。
  意味は、「満月も次の夜には必ず欠けてゆく。全ての物事は、盛りに達すれば必ず衰え、壊れる定めにある」
  ということだそうです。

  日光東照宮の陽明門の柱にも、そんな考え方が繁栄されているそうで、
  12本ある柱のうち1本だけ、施されている彫刻のグリ紋模様が逆だとか。
  これは全てにおいて完璧な建築物であると、史記の中の言葉にあるように必ず衰え壊れるので、
  永久に滅することが無いよう、ワザとそのようにしているのだそうです。
  
  日光東照宮には他にも、唐門の扉や、御仮殿・相の間天井格子の花など、
  一箇所だけワザと向きを変えて配置されている物があり、
  この建造物が時を超えても残るように、昔の人が考えに考え、あらゆるところに工夫を凝らして、
  わざと未完成にした様子が伺えます。

  また昨年開園から25周年を向かえ、来場者数が過去最高を記録するなど、
  不動の人気を博しているディズニーランドも、従業員の研修教育の際に、
  「常に夢を追いかければ、いつまでも完成するはずがない。よって常に未完成でなければならない。」
  「人は、人とのコミュニケーションによってのみ感動する。」
  と唱えて、永久に事業が完成しない事を強調しているとのこと。

  そういえば、絵画の巨匠といわれるレオナルド・ダビンチも、
  未完成の代表作が多いようで、
  自ら進んでいく方向やスタイルを「これ!」と決めたとしても、
  めざすべき目標到達点は固定しない方が、永久に繁栄していく為には、良いのだろうと
  最近感じています。

  
  
  昨年夏に日光に行った際、撮った写真です。 平成の大修理ということで、一部が修復中でした。 
  
28 2009/01/04 12:35 社労士・杉山千里
  ****************
  探し物の見つけ方
  ****************
  
  新年明けましておめでとうございます。
  本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
  
  前回まで少し重めの話だったので、今回は軽いお話をしたいと思います。
  
  年末大掃除に限らず(?!)、人生のうち、何か物を探し始め、
  そしてそれを探している間は、なかなかそれが見つからないという事が良くあります。
  
  睡眠時間は人生のうち3分の1を占めるそうですが、
  「気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ」という本を書いた
  リズ・ダベンポートさんのお話によれば、
  ビジネスマンが探し物をしている時間は、年に平均して150時間あるとか。
  
  捨てていないのであれば、必ずある筈です。
  しかし、そう思って探していても、その探索時間は本当に無駄な時間です。
  できるだけ短時間で探索を終わりにしたいところです。
  
  私の拙い人生経験からアドバイスすると、
  こんな時は一度そこから意識をそらして、探すのを止めたほうが無難です。
  (これは探し物を諦めろという事ではありません。)
  
  頭の片隅の無意識なところで探しておき、
  心の中では、一度その探し物のことを一切忘れるのです。
  冷静に探しているようでも、ソワソワした心の状態で探していては、
  絶対に見つからないので、忘れることで真の冷静さを取り戻すわけです。
  
  本来あるべき所にその物が無く、一時的に例外的に、やむを得ず
  仮に置いておいた場所を忘れているために、探す時間が生じていますから、
  心の中で「本来なら、それは此処にあるべき。」と最初に思った場所を記憶して、
  思い切って探し物は一度中止してしまいましょう。
  
  すると私の場合は、すぐに思ってもないような所から、探し物が見つかります。
  探し物が見つかったら、その後は必ず本来置いておくべき場所に、
  それを片付けるようにします。

  
27 2008/12/01 12:04 社労士・杉山千里
  ********************
  紛争解決のヒントは?
  ********************

  世界一受けたい授業(11月15日放送)というテレビ番組で、
  NGO・国際連合職員の伊勢崎賢治さんという方が、
  『紛争請負人が見た!戦地の現実 戦争を話し合いで解決する方法! 』
  というタイトルでお話されると知り、
  特定社会保険労務士として個別労使働紛争解決(ADR)という業務に当たる際、
  何かヒントとなる事や、勉強すべき点は無いだろうかと思い、
  大変興味深く、3時限目の特別授業を拝見しました。

  伊勢崎さんは、アフガニスタンやシエラレオネなどの世界のあらゆる戦地・武力紛争の現場で、
  数多くの紛争解決処理に当たり「紛争解決請負人」といわれる人で、
  伊勢崎さんのお仲間の内には、紛争解決処理の途中に、不幸にして亡くなられた方も
  何人かいるとの事でした。

  体を張って生死をかけて紛争解決に当たっている伊勢崎さんのお話からは、
  やはり数多くの学ぶべき点がありました。

  例えば、テレビ番組側の
  「外国人がいきなり武装解除の交渉を始めて、聞く耳を持たれますか?」という
  質問に対して 、伊勢崎さんは、
  「紛争などに利害関係のない日本から来た外国人が交渉する事で、逆にうまくいく。」
  「対立する二つの勢力に嘘をついて交渉しても信用を失う。勇気を持って『ダメだ!』
  と言う事を積み重ね、(信頼を勝ち取りながら)少しずつ武装解除を進める。」
  と答えていらっしゃいました。

  これは、紛争解決には、利害関係のない第三者が当事者の間に入ることが不可欠であり、
  その第三者が、紛争を起こしている当事者の双方に、勇気を持って粘り強く交渉することが大事である、
  という事でしょう。再確認しました。

  そして、伊勢崎さんのお話からもう1つ学んだことは、
  どちらが正しく、どちらが悪いと判断する方法では一向に解決がつかないので、
  事の善悪については一時的に棚に上げて問題とせずに、お互いが妥協できる点を探して、
  一刻も早く、誰も肉体的に傷つかない、平和で安全な状況を作り出すことが大事である
  という点です。

  個別労使紛争において肉体的に傷つくような状況は考えられませんが、
  紛争当事者がお互いに生活をかけて、一歩も譲れない状況にあるという点では、
  酷似しているでしょう。

  またさらに、伊勢崎さんのお話から学んだことは、
  他人を思いやる心、譲る心、「慈悲」というような感情は、
  大人が子供に教えてやらなければ、自然には知ることが出来ない感情であるということです。

  伊勢崎さんは数多くの戦地を見て来て、大人は人を殺すことに躊躇を感じるが、
  「子供というのは、一旦人を殺すきっかけを作ってやると、大人の兵士よりも無慈悲に人を殺す」
  ということを実感されたそうです。

  子供がおもちゃではなく、本物の銃刀の取り合をしたら?
  想像してみて下さい。無邪気であるが故に無慈悲になる事を。とても危険な状況です。
  伊勢崎さんが語って下さった体験談を如実に現している状況です。

  紛争解決には、お互いに譲る心を持つこと、対話することが非常に重要と言えます。
  妥協点を探るという譲る心を持たず、対話拒否しているのでは、何の解決にもなりません。
  
26 2008/11/01 20:40 社労士・杉山千里
  **************************************
  死刑があるのは、日本とアメリカだけ?!
  **************************************

  いよいよ裁判員制度がスタートします!!
  今月の下旬には、各地方裁判所から「裁判員候補者名簿への記載のお知らせ」なるものが、
  該当者のところへ送付されるそうです。
  
  裁判員制度は、国民参加型の刑事裁判と言われています。
  
  交代のきかない仕事に就いている場合や、高齢あるいは重病を抱えている場合など、
  特別な理由があれば、裁判員・補充裁判員の任務を断れるようですが、
  もし裁判員の6人(補充裁判員は2人)に選ばれたら、
  自分が法律の素人だからと言って、基本的に断ることは出来ません。
  
  裁判員の身に危険が生じるといけないという理由で、
  すべての刑事裁判に、この裁判員制度が設けられる訳ではなく、
  殺人罪・強盗致死傷罪・現住建造物等放火罪・身代金目的誘拐罪など、
  重大な事件に限って設けられるようです。
  
  さて、そのような重大な刑事裁判に参加するに当たって、
  私たち国民の一人一人に、心の準備というか、心構えと言うか、
  基本的理念が無くて良い訳がありません。
  
  ここで面白いデータがあります。
  先進国の中で「死刑」という罰があるのは、
  なんと日本とアメリカだけである、という事実です。
  
  私は「死刑」は廃止するべきだと思っています。
  これはジュネーブの国連欧州本部で、今年10月中旬、1998年以来10年ぶりに行われた
  国連の規約人権委員会で、日本の死刑制度や代用監獄制度に
  非難が集中したからではありません。
  
  「人を殺すことはいけない」と言っているのに、
  何故、人を殺すこと(死刑を下すこと)が許されるのか?
  と、常々疑問に思っているからです。
  
  正当防衛など、
  瞬間的な過失によって人が死ぬことはあっても、
  故意によって人が死ぬことは、どんな理由があっても、
  絶対に許してはいけない事だと思います。
  
  殺人犯を「死刑」にしても、または殺人犯が自分の死でその罪を償ったとしても、
  殺された人が生き返るわけでも、
  またその殺された人や遺族の無念が晴れるわけでもありません。
  
  むしろ被害者側の立場からすれば、一瞬の「死」をもって償ってもらうより、
  その殺人犯が自分の罪を心から悔やみ、反省して、
  生きて継続して罪を償ってくれたほうが、よっぽど救われるでしょう。
  
  また「死刑」があるのに、凶悪な犯罪は増える一方で、
  まったく減る気配が無く、何の抑止力にもなっていない事は、
  周知の事実となっています。
  
  よって私は「死刑」に反対です。
  
  みなさんは、この問題を、どう考えますか?
  刑事事件を裁く人の、その心の中には、
  生死についての確固たる哲学がしっかりと確立されている必要があると思います。
  
  あなたは裁判員になった時、その時の感情に流されず、
  ちゃんとした「刑」を下す、判断を下せる自信がありますか?

  参考URL:http://www.news.janjan.jp/world/0612/0612260162/1.php